夜、ラパスの教会で礼拝が行われていた。中に数百人はいるだろうか。ほぼ満席だったが、教会の後ろのほうの席が空いていたので、そこに座って神父の話を聞いていた。
スペイン語なので、もちろん何を言っているかはわからない。ただ、その厳かな雰囲気を感じていた。
礼拝の途中で、教会のスタッフと思われる20代前半くらいの男の子が、被っていたつば付き帽子を脱いでひっくり返し、礼拝の参加者ひとりひとりに募金を募った。
観察していると、100人中100人が募金をしている。断っている人は1人もいないようだ。例外はない。信仰心を目の当たりにした気持ちだ。
払うべきか、いや、いくら払うべきか、そんなことを考えていたら、自分の番がふと訪れた。
私の前に来た彼は、私がどうしようかと迷う間もなく、私の前に手を差し伸べ、ただ拍手をして、ニコッとほほ笑んだ。そして、募金を募らずに、次の人のところに行った。
その後、しばらく放心していた。彼の心の豊かさに。彼のような優しい心を持ちたいと思った。